実は、コロナ禍のせいで孤独死に気付かないケースが日本でも増加傾向にあります。そんな中で親族が孤独死してしまい、辛い悲しみのうえに、コロナ感染が気になって自分でその部屋の掃除はできませんよね。
そこでハウスクリーニング業者に依頼しようか、特殊清掃業者に依頼しようかとお悩みではありませんか。しかし、料金や作業内容等の違いから中々判断がつかず業者を見つけることができませんよね。
この記事では、特殊清掃員としての私の体験談と孤独死の現場写真、孤独死の清掃は特殊清掃業者に依頼すべき理由、正しい特殊清掃業者の選び方などをお伝えしています。ぜひ参考にしてみてください。
孤独死現場で私が特殊清掃した体験談
まずは、私たちが特殊清掃依頼を受けて現場に行き、大家さんから聞いた孤独死による被害事例を体験談としてお伝えします。
突然大家に起きた店子の孤独死
中々入居者が決まらないので、繁華街の飲食店で働いているちょっと派手目の女性からの入居募集を受け入れました。
引っ越し当初は、顔を合わす度に挨拶をキチンとする女性でしたが、半年ほど前から度々男性が部屋に訪れる様になってからは、姿を見る機会はほとんどなくなりました。
その男性とのトラブルで自殺して孤独死に…
家賃の振込みがなかったので、電話してみても連絡がつかず、何度部屋を訪れても留守でした。
1週間も連絡が取れないので、もしかして男性と夜逃げかもと思ってマスターキーで部屋に入ると、上記写真でわかるようにリストカットによる自殺でした。
連帯保証人も遺族は全く費用を払わない
警察への対応と同時に、連帯保証人に連絡してみたものの連絡は取れず、遺族からは遺体は引き取るが、退去に伴う費用を払うお金は一切ないとの一点張りで、結局は大家である私が負担することに…。
ズバリその金額は遺品整理と特殊清掃とリフォーム、それに値下げ家賃も含めから数百万円は下りません。
因みに上記写真は、遺品整理と特殊清掃の終盤で、これから床磨きと部屋全体の消臭作業に入るところです。
孤独死で被害を受けた大家の声
キチンと連帯保証人まで取っていたので、まさか自殺による孤独死でこんな多額の費用を払う羽目になるとは思っていませんでした。
消臭清掃や遺品の片付けで費用は掛かるし、リフォームでさらに費用が掛かり、その上、自殺が有った部屋である事を告知しなければならないので、家賃も下げざるを得ません。
まさに踏んだり蹴ったりとはこの事ですね。これからは連帯保証人の所在確認のため、定期的な電話連絡を欠かさないようにするつもりです。
特殊清掃の料金相場(総額)
次に、一般的な特殊清掃料金の目安をお伝えします。詳しい料金金額は、必ず個々の業者見積りのうえ、ご確認ください。
特殊清掃 | 55,000円~500,000円(税別) |
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- 遺体発見までの日数や亡くなった箇所、腐乱状態等によってどうしても金額に大きな幅があることはご了承ください。
- 原状回復リフォーム費用は含まれていません。
- 家具の処分などの遺品整理料金は含まれていません。
特殊清掃料金の内訳
腐敗体液 汚物撤去 | 20,000円~250,000円 |
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害虫駆除 | 15,000円~100,000円 |
消臭消毒 | 20,000円~150,000円 |
特殊清掃の現場写真
この項目では、実際に私特殊清掃した現場写真3つを挙げています。
特殊清掃の現場写真①「風呂場」
風呂に入浴し際に、亡くなったようです。風呂場での突然死の原因はヒートショックが多いとのことです。1週間も遺体が湯に浸かっていると、上記写真のように、風呂の湯はどす黒い色に変えるらしい。
【ヒートショック】とは
急激な温度の変化により血圧の乱高下や脈拍の変動が起こること。
冬場の入浴時や冷暖房の効いた部屋から外へ出た時などに起こりやすく、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの深刻な疾患につながる危険性がある。
特殊清掃の現場写真②「トイレ」
トイレで死亡する原因のほとんどはオーバーシュートという生理現象と言われています。
【オーバーシュート】とは
トイレでいきむ事や立ち上がる際に急激な血圧、心拍数の上昇により心筋梗塞や脳卒中を引き起こしてしまうことです。
特殊清掃の現場写真③「フトン」
就寝中に何らかの原因で孤独死された布団の写真です。死亡してから2週間以上経過していたためか、布団の上に人型模様の腐敗体液がくっきりと残っていました。
孤独死の清掃を特殊清掃業者に依頼すべき理由
孤独死の清掃で最も重要なことは「死臭の消臭」ですよね。一般の人やハウスクリーニング業者が行なう清掃と比較しながら、特殊清掃業者に依頼すべき3つの理由をお伝えします。
孤独死専用の消臭剤を使用するから
一般の人は、簡単な拭き掃除を行なったあとに、ファブリーズなどの家庭用芳香剤をまいて、死臭をごまかして消臭するケースが多いようですね。
またハウスクリーニング業者の消臭方法といえば、マニュアルに沿った清掃作業を行なったあとに業務用消臭剤またはアルコール消臭を噴霧します。
孤独死専用の薬剤を使用
一方、特殊清掃業者では専用の工具などを使用して、まずはほぼ100%死臭の元である腐敗体液を取り除いてから、孤独死専用の強力な消臭剤や消毒剤を使用して死臭を消臭します。
もちろん、その消臭効果の差は上記2つとは段違いに異なります。さらに死臭がわずかでも残っていないかと、何度も鼻を該当箇所に近づけて確認を繰り返します。
99%も死臭を消臭できる
その結果、特殊清掃業者に依頼すると、孤独死があった部屋とは思えないほど部屋は消臭されます。
孤独死専用の消臭剤について、詳しく知りたい人は「孤独死の死臭を消臭する際に押さえておきたい3つのポイント」をご覧ください。
死臭消臭の経験ノウハウがあるから
孤独死があった部屋に入られた経験がある人には理解していただけると思いますが、その死臭は強烈で、一般の人は部屋に入ることさえできない場合がほとんどです。
ハウスクリーニング業者には死臭消臭ノウハウがない
またハウスクリーニング業者は、消臭目的ではなく見た目を綺麗にする清掃サービスをを普段提供しているので、死臭消臭の経験やノウハウは皆無と言っていいでしょう。
特殊清掃業者は死臭消臭のスペシャリスト
その点、特殊清掃業者はハウスクリーニング業者のように見た目を綺麗にする清掃サービスを提供しているわけではありません。あくまでも死臭消臭がメインです。
当然、特殊清掃業者は「どの箇所を」「どの消臭剤で」「どのように」すれば、キチンと死臭消臭できるかを熟知していますので、その効果に歴然の差があります。
特殊清掃業者が行なっている死臭消臭作業は「孤独死部屋の清掃を行っている専門業者の凄惨な現場レポート」で、詳しくお伝えしています。
結果的に安く済むから
仮に孤独死の清掃を一般の人やハウスクリーニング業者が行なうと、必ずといっていいほど、後に特殊清掃業者への依頼やリフォームが必要になり、結構な金額の追加費用が掛かってしまいます。
特殊清掃業者は追加費用がなく結局安く済む
その理由はキチンと死臭消臭されていないからです。確かに特殊清掃業者に依頼すると、消臭清掃だけで数十万の費用が掛かってしまいます。
しかしほぼ99%死臭が消臭されるので、他の業者への支払いや別途リフォーム費用が掛かる可能性がグンッと低くなるので、結果的には総額でみると安くなります。
【豆知識】特殊清掃の求人状況について |
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多くの人は、特殊清掃業界の求人なら給料が高いうえに採用されやすいのでは?と思われているのではないでしょうか。 そんなあなたに向けて、知っておくべきポイントや主な求人窓口、注意事項などを「急増している孤独死と特殊清掃の悲しい実態を現場のプロが語る」で、詳しくお伝えしています。 |
正しい特殊清掃業者の選び方
この項目では、特殊清掃業者を探す際に、ぜひ知っておいて欲しいポイントを5つお伝えします。
すべてクリアされていれば、悪徳業者の可能性は極めて低いと思っていいでしょう。
総額表記の料金表を載せているか?
その業者サイトの料金表項目に「基本料金」や「特別価格」「作業費用」などと書かれていませんか。
もし、そうであれば悪徳業者の可能性があります。なぜならば、別項目でいくらでも追加できるからです。
【悪い例】
基本料金の総額は100,000円と書いてあったので、見積りをしたら、実際は下記の金額になって、依頼するまで担当者が帰らない。
基本料金:100,000円 + 清掃作業料金50,000円 + 出張料金20,000円 + 処分費15,000円 = 総額185,000円 |
特殊清掃業者の選び方ポイント①
必ず料金表に総額が書かれている業者から選ぶこと。
消臭保証はついているか?
もう一度いいますが、孤独死の清掃を依頼される目的は死臭消臭ですよね。そうであれば、死臭の消臭保証がついている業者を選ぶべきです。
優良な特殊清掃業者であれば、再消臭作業の施工や返金保証がついているはずです。※ただし、保証条件を必ず参照してください。
特殊清掃業者の選び方ポイント②
必ず消臭保証がついている業者から選ぶこと。
遺品整理も行なっているか?
実は、死体があった箇所だけ消臭しても、キチンと死臭を消臭することはできません。
該当箇所だけ消臭した場合は、約80%は消臭されますが、残りの約20%の死臭はそのまま残ってしまいます。
そのワケは、部屋にある遺品にも死臭がついているからです。
その遺品も整理して処分しなければ、決してキチンと死臭が消臭されることはありません。そのため、死臭消臭には遺品整理が不可欠といえます。
特殊清掃業者の選び方ポイント③
必ず遺品整理も行なっている業者から選ぶこと
電話応対は大丈夫か?
5回以上、電話コールを鳴らしても誰も電話口に出ない業者は、お客様の方を向いていない自己中心的な業者と考えていいと思います。
そのような業者は、特殊清掃作業も独りよがりになってしまう傾向が強いでしょう。当然、雑な消臭作業をされて、まともに死臭消臭もできません。
特殊清掃業者の選び方ポイント④
必ず5コール以内に電話口に出る業者から選ぶこと。
無条件で見積りは無料か?
ネット上では、どの業者も無料見積りを実施しているように見えますが、よく注視しましょう。中には、条件付きで無料見積りを実施している業者もいます。
【条件付きの例】 |
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・特殊清掃を依頼されれば無料見積り |
・地域限定での無料見積り |
・期間限定での無料見積り |
特殊清掃業者の選び方ポイント⑤
必ず無条件で無料見積りの業者から選ぶこと。
激安業者の中で後悔しない特殊清掃業者は≒ゼロ
皆さんは、安くて良い特殊清掃業者をお探しとか思いますが、残念ながらそのような業者は皆無といっていいでしょう。
その理由は、皆さんがお望みの高度な死臭消臭には、多くの手間や時間と多額の人件費、高価な消臭剤費用が掛かっているからです。
激安業者が、どのようにして高額である特殊清掃を安く提供しているかは「優良な特殊清掃会社が行っている仕事内容と悪徳業者の特徴」でその理由を詳しくお伝えしています。
その理由を知ってそれでも良いという人は、激安の特殊清掃業者に依頼してみるのもいいでしょう。
孤独死があった部屋の体験談
この項目では、私たちラストクリーニングに依頼された人から特殊清掃サービスを受けられた後にお聞きした体験談3つを挙げさせていただいています。
東京で暮らす母を孤独死させてしまって…
東京の母が亡くなり、部屋を片付けしてほしいと大家さんから連絡が入りました。しかし私は福岡に住んでいますし、仕事もありますからすぐに行くことはできません。それでインターネットで「特殊清掃」と検索すると、ラストクリーニングさんが一番上に表示されていたので、問合せしてみました。
応対した人は、電話越しでもわかるほど、とても親切で、消臭ノウハウもすごく豊富で、詳しくお話を聞いて納得できたので、それに遠方で引き渡しが難しくても引き受けてくれるということでお願いしました。
作業終了後、大家さんに連絡を取ると、「あんた、いい業者に依頼したね」と言われ、部屋はすっかりきれいになって臭いもなくなったということでした。
先日、一人暮らしの父親が孤独死…
一人暮らしの父親が、先日亡くなりました。私も50代、体力に自信がなく、途方に暮れていると、娘がスマホで業者を探してくれました。3つほど業者に電話したのですが、一番キチンとした電話応対をされたので、特殊清掃と遺品整理をラストクリーニングに依頼しました。
スタッフの方は、とても親切で、遺品を大切に取り扱っていただき、とても感謝しています。また通帳や生命保険証などの貴重品、写真なども丁寧に取り分けていただき、本当に助かりました。
特殊清掃は、親族でも嫌がる作業と思いますが、丁寧な仕事をして頂き、ありがとうございました。もちろん腐敗臭もすっかりと消えて、まるで遺体があったとは思えないほど、部屋は綺麗になって、亡くなった父も喜んでいると思います。
夏場にマンション住民からの異臭苦情で…
夏場ということもあって、悪臭がひどいと近隣住民の声を聞き、死亡している入居者を発見しました。廊下の前を通るだけで、異様なニオイで吐き気がするほどの死臭でした。
この入居者には、身寄りがなく、特殊清掃はもちろんのこと、遺品整理もしてくれる人がいません。まずは消臭だけでもと思い、知り合いのハウスクリーニング業者に相談をしてみたところ、部屋に入ることもなく、断られてしまい、一体どうすればと呆然としていました。
そこで、ネットで「孤独死清掃」と検索すると、専門業者らしきラストクリーニングを見つけたので、早速、電話相談してみました。部屋の状況を伝えると、「大丈夫です!そのようなお部屋を今までに何度も清掃していますから安心してください。」と言われて正直ほっとしました。
作業後に確認すると、新築同様とまではいきませんが、不幸があった部屋とは思えない所まで、部屋の掃除をしてくれました。これで他の入居者から苦情が無くなるので、ひとまずは精神的に落ち着けると思います。
特殊清掃員としての私の体験談
最後に特殊清掃員として私の印象に強く残っている孤独死現場での体験談を3つほどお伝えします。ご本人がどう思われたかは定かでありませんが、はやり1人で死ぬのはあまりにも寂しく悲しい出来事ではないでしょうか。
バスタブ内での孤独死
マンションのオーナーからの依頼でした。亡くなった人には親族がいなく、警察への応対もすべてオーナーさんがされてようです。オーナーさんによると、現場検証のため、遺体に指を指しているところを写真撮影する際に、その振動で遺体の鼻がホロリと朽ち落ちてしまったようです。
我々が特殊清掃をした際も、バスタブ内には無数の髪の毛と3つほど爪が落ちていました。バスルームの扉は閉まっていたということですが、ワンルームで狭いため、床や天候、窓から死臭が漂っていました。無論、遺品にも死臭が染み付いているため、すべて処分しました。
死臭はほぼ100%消臭できたのですが、バスタブが古いためか、腐敗体液でどす黒くなったお湯を抜いて清掃してもシミが消えなかったため、格安で部屋を販売しようか、それとも新しいバスタブに買い替えて、全面リフォームして賃貸にしようかと悩まれていました。
リストカットをしてもがき苦しんだ現場
自殺した息子さん両親から悲しみを耐えながらの電話でした。今日中に清掃して欲しいとのことですぐに現場へ向かいました。数々の特殊清掃の依頼を受けてきた私でも両親ともかなり憔悴しきっているなと感じました。部屋を見た瞬間にその理由がわかりました。
息子さんはリスカットで自殺したらしく、死に至るまで、その痛みからか、もがき苦しんだようで、部屋の床はもちろん、クロスやドア、カーテンなど、至るところにしぶきをあげたように血ノリがついていました。
こんな惨状を見た両親にかける言葉が見つかりませんでした。私は、その心中をしっかりと受け止めながら、特殊清掃と遺品整理をさせていただきましたが、3日後の会計の時にはちょっと落ち着かれた様子になられており、私でも少しはお力になれたのかなと思います。
大便を力んだ際に脳卒中
不動産管理会社からの消臭依頼の電話がありました。周辺から悪臭苦情で孤独死が発覚したようです。トイレで亡くなって約1か月経過しており、便器周辺には腐敗した体液とともに大便はもちろん、嘔吐物や髪の毛で、あたりは真っ黒になって、異様な臭いを放っていました。
不動産管理会社の担当者からは、警察の見解では、大便を力んだ際に脳卒中を起こしたのだろうとお聞きしました。この人も身寄りがなく、一人寂しく亡くなってしまったようです。それで大家さんが困り果てて、不動産管理会社に相談して、その担当者がネットで私たちラストクリーニングを見つけたようでした。
人生最期の場所がトイレだなんて、何だかとても惨めで寂しい気持ちになってしまいました。もしかしたら、自分や親の最期も…と思ってしまって、普段はあまり親兄弟に連絡をしたいタイプなのですが、この日ばかりは久しぶりに家族へ連絡してみようと思いました。
まとめ
孤独死の現場写真と特殊清掃業者に依頼すべき理由、正しい特殊清掃業者の選び方、そして特殊清掃員としての私の体験談などをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
まだ業者選びに迷われているのなら、いつでも私たちにご相談くださいね。