死後の処置としての湯灌・エンゼルケアの基礎知識

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湯灌・エンゼルケア

死後の処置として、エンゼルケアや湯灌というものがあると聞いて、一体どのようなものだろうかと思われているのではありませんか?そうですよね。一般の人には中々馴染みのない言葉だと思います。

そこで、この記事では、知り合いの葬儀会社社長からお聞きした湯灌・エンゼルケアについて、その目的や実際の手順等をお伝えします。ぜひ参考にしてください。

1.湯灌・エンゼルケアの概要とその目的

まずは、湯灌・エンゼルケアの概要と、その目的についてお伝えします。

1-1.湯灌・エンゼルケアとは

湯灌(ゆかん)とは、死後の処置として、死者の尊厳を守るため、遺体を入浴させ、洗浄することです。簡易には遺体を清拭(せいしき)することで済ませることもあります。入浴前後の内容物の排出や死化粧等の処置も含めて湯灌と言われることもあります。また最近では、別名で「エンゼルケア」とも呼ばれることもあります。両者は、同じことを指しています。

1-2.湯灌・エンゼルケアの目的

湯灌・エンゼルケアの目的には、以下の2つの目的があります。

■目的①:死者の尊厳を守るため

湯灌後、身なりを整えて死化粧をすることで、少しでも生前の姿に近づけて、死者の自尊心を高めます。

■目的②:公衆衛生を保つ

時として、遺体には感染症などの原因となる病原菌を保持していることもあります。湯灌することでそれらの増殖を防ぐことができます。近年では、お湯は菌の増殖を促すので、代わりに水や消毒液で行なわれているようです。

2.湯灌・エンゼルケアで必要な物と実際に行なう人

この項目では、湯灌・エンゼルケアを行なう際に必要な物と、実際に作業を行なう人をお伝えします。

2-1.準備する物

・脱脂綿 ・割り箸 ・ガーゼ
・包帯 ・絆創膏 ・油紙
・T字帯 ・カミソリ ・外科用はさみ
・くし ・ヘアブラシ ・輪ゴム
・清拭用具 ・消毒液 ・便器および尿器
・膿盆 ・着替え ・シーツ
・ガウン ・マスク ・ゴム手袋

2-2. 湯灌・エンゼルケアを行なう人

湯灌・エンゼルケア1

実際に、湯灌・エンゼルケアを行なう人は、主に看護師または葬祭従事者ですが、要望があれば遺族と一緒に行ないます。入院施設が整っている比較的大きな病院や葬儀会社であれば、基本的には湯灌・エンゼルケアを行なっていただけます。

3.湯灌・エンゼルケアの手順

ここでは、基本的な湯灌・エンゼルケアの手順を6つのポイントに分けてお伝えします。

3-1.直後の処置

①医師による死亡判定後、死者に一礼し、チューブや器機類などを取り外します。

②義歯があれば装着し、口を閉じ、下あごを引く、顔の汚れ等を綺麗にし、目を閉じさせる。

③死者が身につけていた貴金属類は外して遺族に手渡す。

④末期の水(死に水)を準備し、遺族以外は室外に移動。そして遺族に最期の対面をしてもらう。

⑤遺族に処置内容を説明し、以降の手順は、遺族の希望によっては一緒に作業をする。遺族の手伝ってもらうときは、マスク、ゴム手袋を着用してもらう。

3-2.内容物の排出と清拭

①【胃の内容物の排出】
顔の掛け物を除き、顔の横に膿盆を置き、顔を横に向け、手の平で胃部を押させて内容物を吐かせる。吸引が必要になることもある。

②【便尿の排出】
便器、尿器をあてて、下腹部に両手をあてて恥骨に向かって圧迫して膀胱や腸の内容物をできる限り出す。

③【清拭】
全身を消毒液またはお湯で、丁寧に清拭する。

3-3.綿を詰める

①割り箸を用いて、鼻・口・耳・肛門・膣の順に綿を詰める。

②【綿の詰め方】
最初に脱脂綿、次に青梅綿を詰める。顔面の鼻・口・耳は再び脱脂綿を外から綿が見えないように詰める。

③肛門には、綿を詰めた後、場合によっては紙おむつをあて、T字帯を着け、その上から下着を着せる。

④顔面の様子が衰弱しているようなら、頬に少量の綿を入れて膨らみを持たせる。

⑤傷部分があれば、ガーゼをあて、包帯または厚めのガーゼでカバーする。

3-4.衣服の着替え

①一般的には新しい浴衣に着替えさせます。2時間以上経過すると、死後硬直ははじまり、着替えが困難になることがあります。極力、湯灌・エンゼルケアのときに着替えさせましょう。

②一般的には、着物は左前にします。ただし宗教によって異なることがあるので、死者の宗教を確認してからにしましょう。

③着物の紐は縦結びにすることが多いようです。

3-5.死化粧

①ひげを剃る。ガーゼで石鹸とお湯で皮膚を湿らせてから、皮膚を伸ばしながら剃ります。カミソリは寝かせます。

②女性の場合は薄化粧をする。

③必要に応じて手足の爪を切る。

④下あごが下がるときは、タオルを巻いたものをあごの下に挟むか、包帯または三角布で吊るして口を閉じる。

⑤まぶたが閉じないときは、ティッシュペーパーを小さく切って、まぶたと眼球の間に入れてまぶたを閉じる。

⑥髪を整える。

⑦仏教の場合、胸上で手を組ませる。

⑧シーツを交換し、顔を白い布で覆い、一礼する。白い布で顔を覆うのは必須ではありません。遺族の意向で覆わないこともあります。

3-6.後片付け

①遺族に終了を告げて、使用した物等の後片づけをする。

■湯灌・エンゼルケアの回数について

病院での湯灌・エンゼルケアは、主に衛生目的で行い、一方 葬儀会社では死者を弔うため外見を整える目的と、二度行なうのが好ましいでしょう。

【一般的な葬儀の流れについて】
この記事でお伝えしたこと以外に一般的な葬儀の流れについても知っておくとより理解が深まります。詳しくは「一般的な葬儀終了までの流れとその後に行なわれる5つのこと」でお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。

4.費用目安

湯灌・エンゼルケアの費用 無料または3,000円~30,000円

病院で亡くなった場合でも、湯灌・エンゼルケアは、死後の処置になりますので、健康保険の対象外になります。健康保険は生者に対するものです。しかし病院の方針により、無料で行なっているところもあります。

5.まとめ

今日は、湯灌・エンゼルケアの目的や実際の手順等をお伝えしましたが、分かりやすかったでしょうか。まだよくわからないという人は、生前相談などで葬儀会社や施設職員に尋ねてみてくださいね。

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【知っておきたいこと①:葬儀費用について】
いくら身内の不幸とはいえ、やはりその葬儀費用が気になりますよね。およその金額を知っておけば自ずと安心できるものです。そこで「葬儀タイプ別の費用相場とできるだけ安くできる方法」では、一般的な葬儀費用の相場などをお伝えしていますので、興味がおありの人はご覧ください。
【知っておきたいこと②:葬儀会社の選び方】
葬儀会社の中には、ドンブリ勘定で見積りをしたり、粗末な葬儀を行なうところもあります。そんな会社に依頼すると、故人に申し訳が立たないだけでなく、親族や関係者にも恥をかくことにもなりかねません。そんな事態を避けるために「葬儀会社を選ぶ際に絶対知っておくべき5つのポイント」をぜひ参考にしてください。
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